Vol.20 Bar Tiziano  鎌田光代さん

登場カクテル「ティツィアーノ」「マティーニ」

登場人物

【味香】バー初心者の20代。好奇心が人一倍強く、次々にバーの扉を開けていく。お酒は強いほう。

 

鎌田光代さん(以下、鎌田)いらっしゃいませ。

味香)こんばんは。入口が素敵で、ちょっと眺めちゃいました。扉とか、ランプとか。

鎌田)ありがとうございます。扉は古材を利用して、中央にアンティークの飾りを入れています。

味香)看板もかわいいですね。ブドウとウサギ、ですよね?

鎌田)ブドウをスパークリングワインで割ったカクテル「ティツィアーノ」から店名を付けたので。ティツィアーノはイタリア人の画家、ヴェネツィア派の巨匠の名前でもありますよね。作品に『うさぎの聖母』という絵があって、そのX線解析をルーブル美術館のウェブサイトで見たのがきっかけで、ウサギをデザインに取り入れました。

味香)ブドウとスパークリングワインのカクテルもあるんですね。桃とシャンパンの「ベリーニ」をこの前飲んだら、すごく美味しくて。

鎌田)ベリーニの名前の由来になったジョヴァンニ・ベリーニは、ティツィアーノ・ヴェチェッリオの師匠にあたります。ベリーニのバリエーションとして、ティツィアーノが生まれたと言われています。

味香)その「ティツィアーノ」を飲んでみたいです。

鎌田)かしこまりました。

<鎌田さんがカクテルメイキング。巨峰をペストルで潰して漉し、シャンパンで満たして軽くステア>

鎌田)お待たせいたしました。「巨峰とシャンパーニュのティツィアーノ」です。

味香)綺麗な色ですね。飲めるのは秋だけですか?

鎌田)6月から10月くらいまでお出ししています。一年を通してご注文頂くのはパイナップルでしょうか。

味香)パイナップルのシャンパン割り⁉

鎌田)果汁を搾ったら一晩置いて、酸味を落ちつかせてから使っています。ほかにキウイやリンゴ、フルーツトマトも。意外な組み合わせかもしれませんが、どれも美味しいですよ。

味香)これに合う簡単なおつまみって、ありますか?

鎌田)ちょっと癖のあるチーズでも宜しければ。

味香)はい、大丈夫です。

鎌田)エポワスというウォッシュタイプのチーズで、ブルゴーニュのマールで洗っているので合うと思います。

味香)ウォッシュタイプ……。

鎌田)その土地のワインやブランデーなどの地酒や塩水を使って、表面を何度も洗いながら熟成させるチーズです。マールはブドウの搾りかすから造られるお酒なので、ティツィアーノとはブドウ繋がりですね。フォークで少しずつ召し上がってみてください。

味香)うわ~、トロッとしてる。独特だけど、濃厚でお酒が進んじゃいそう。

鎌田)合間にセルフィーユをかじると、すっきりしますよ。

味香)レーズンもいいですね。ところでフルーツって、どこから仕入れているんですか? 近くの八百屋さんとか、農家さんとか?

鎌田)そうですね。時期によっては小笠原の農家さんからパッションフルーツやマンゴー、バナナ、パイナップルが送られてきます。以前、仕事で数年住んでいたことがあって。

味香)小笠原かぁ、行ったことないけど自然豊かでのんびりと暮らせそう。島っていいですよね。

鎌田)実は、小豆島も1か月ほど住んでいました。オリーブの収穫や塩漬けのお手伝いをしていたので、都内で一番オリーブを触っているバーテンダーかもしれません。

味香)あははっ、それは凄い! オリーブといえば、マティーニ……お願いできますか?

鎌田)ごめんなさい、いまオリーブがなくて。というのも、小豆島のオリーブは11月から3月までしか入荷しないんです。小豆島のものをお勧めしたいので、ほかのオリーブでの代用はせずに旬のフルーツを添えていますが宜しいですか?

味香)それも面白そうなので、お願いします。

鎌田)ありがとうございます。

<鎌田さんがカクテルメイキング。ミキシング・グラスに氷を入れて、ドライ・ベルモットでリンス。ジンを注ぎ、ステアしてカクテル・グラスに注ぐ>

味香)優しいマティーニですね。

鎌田)レシピはかなりドライですが、甘味を引き出して柔らかく仕上げています。

味香)桃を食べながら、飲めばいいですか?

鎌田)はい。食べて飲んだほうが、余韻が愉しめます。

味香)小豆島のオリーブを使ったマティーニも、飲んでみたいなぁ。

鎌田)ギリシャ原産のカラマタという品種で、通常は完熟させてブラックオリーブ、オリーブオイル用に使われます。それをグリーンオリーブの段階で収穫して、塩漬けしている農家さんがいらして。実が大きくて、美味しいですよ。

味香)11月になったら、ブドウとウサギの看板を目指して来なきゃ。そういえば、X線解析で何が見えたんですか?

鎌田)最終的には上塗りされたのですが、下書きではウサギが描かれていたのがわかりました。表面には見えないけれど、何かが出来上がるには過程があって、その中にも大切なものがあるということを感じたのでウサギを看板に描いて頂いたんです。

味香)なるほど……。看板にも、いろいろなストーリーがあるんですね。

Bar Tiziano         鎌田光代さん
東京都新宿区新宿3-28-1 新宿コルネ坂詰ビル5F
03-6273-0514
17:00~01:00(土・日15:00~)
月曜休み
チャージ、サービス料なし
席数 12
カクテル 1,200円~、ウイスキー 1,200円~(税込)

本日のお会計
巨峰とシャンパーニュのティツィアーノ 1,800円
マティーニ 1,600円
本日のお勧めチーズ 300円
計 3,700円

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