Vol.2 Bar Bru¨der 菅野仁利さん

登場カクテル「ジントニック」「ジャックローズ」

登場人物

【味香】バー初心者の20代。好奇心が人一倍強く、次々にバーの扉を開けていく。お酒は強いほう。

 

味香)こんばんは~。

菅野仁利さん(以下、菅野)こんばんは。

味香)(カウンターについて)ジン・トニックをください。

菅野)かしこまりました。

<菅野さんがカクテルメイキング。氷を入れたタンブラーにアンゴスチュラ・ビターズ、ジン、ライムを入れて混ぜる。トニックウォーターで満たして、軽くステア>

味香)(ぷは~っ。美味しい!)

菅野)お仕事帰りですか?

味香)そうなんです。疲れが吹き飛ぶ美味しさですね。爽やかだけど、コクがあって……。

菅野)ありがとうございます。仰るようなジン・トニックを目指して作っているので、嬉しいですね。

味香)ジン・トニックって、よく出ますか?

菅野)はい。当店だけでなく、最もオーダーされるカクテルじゃないでしょうか。一杯目に最適ですし。

味香)ベースのジンって、いろいろな銘柄があるんですよね?

菅野)そうですね。これは「ゴードン」という銘柄で、重厚な味わいのクラシカルなジンです。世界で初めてジン・トニックを生んだ銘柄とも言われているんですよ。ほかに「タンカレー」「ビーフィーター」「ボンベイ サファイア」などがあります。いま、ジンはブームなので豊富に取り揃えているバーもありますね。

味香)ブームとか、あるんだ……。ところで何か、おつまみはありますか? 軽いものでいいんですけど。

菅野)「鴨ロースの生ハム」はいかがですか? カクテルに合いますよ。

味香)生ハム、いいですね。

<味香は店内を見回す。奥のテーブル席にはステンドグラスが施された窓と絵画があり、目を引く>

菅野)お待たせいたしました。

味香)(ひと口食べて)美味しいです~。塩加減が程よい感じ。

菅野)ありがとうございます。カクテルに合う生ハムを作りたいと思ったのがきっかけで、3年くらい前からお出ししているんですよ。

味香)ご自身で作られているんですね。

菅野)ジュニパーベリーを粉砕したものを脂身のほうに振りかけて、塩と砂糖で半日寝かせるんです。それから一度洗って拭き取って、晒に巻いたら冷蔵庫に入れて1週間から10日で出来上がり。

味香)バーテンダーさんって、お料理するイメージがなかったです。

菅野)好きな人は多いと思いますよ。カクテル作りに通ずるところがありますしね。ちなみに、ジュニパーベリーはジンの香りづけに使われています。

味香)そうなんですね。あ、いま奥のステンドグラスを見ていたんですけど……。

菅野)あれは、映画『不滅の恋/ベートーヴェン』のワンシーンを切り取って作って頂いた特注品です。実は店名の「ブリューダー」もベートーヴェンの第九交響曲、終楽章の詩「歓喜に寄せて」から拝借しました。

味香)ベートーヴェンがお好きなんですね。流れている曲もそうですか?

菅野)はい、大抵はベートーヴェンですね。

味香)壁に掛かっているのは、クリムトですよね?

菅野)テーブル席の前が『接吻』、バックバー中央が『ベートーヴェン・フリーズ』です。ベートーヴェンを尊敬していたクリムトが、第九へのオマージュとして描いたのがこの作品なんですよ。

味香)バーってお酒を飲むだけじゃなくて、音楽や絵画も愉しめる場所なんですね。

菅野)店主の趣味が出ますから、面白いと思いますよ。

味香)何か飲みたくなりました。フルーツを使ったカクテルでお勧めはありますか?

菅野)いまの時期ですと、フレッシュのザクロを使った「ジャック・ローズ」とか。

味香)ザクロってあまり口にしたことないかも……。じゃあ、それをお願いします。

<菅野さんがカクテルメイキング。ザクロの粒を布巾に包んで手搾りし、カルヴァドス、ライム、グレナデン・シロップ、卵白パウダーと共にシェイクしてカクテル・グラスへ>

味香)綺麗な色ですね。ベースのお酒は何ですか?

菅野)カルヴァドスといって、フランス・ノルマンディー地方のカルヴァドス県で造られるリンゴの蒸留酒です。一般的にブランデーといえばブドウが原料のものを指しますが、それ以外のフルーツで造られたものもブランデーなんですよ。

味香)じゃあ、カルヴァドスもブランデーなんですね。

菅野)そうですね。原料がブドウ以外のものは引っ括めて「フルーツ・ブランデー」と呼ばれていて、リンゴは「アップル・ブランデー」とも言いますが、中でもカルヴァドス県で造られたものは「カルヴァドス」と名乗れるんですよ。フランスのシャンパーニュ地方で造られたものだけが「シャンパン」と呼ばれるように。

味香)なるほど……。酸味もあるけど、甘くて美味しいです。

菅野)グレナデン・シロップも入っていますからね。ザクロで作ったシロップのことです。

味香)もしかして、これもご自身で?

菅野)はい。この時期は、自分で作っているバーテンダーさんが多いと思いますよ。

味香)カルヴァドスも、たくさん種類がありそうですね。

菅野)専門のバーがあるくらいですから。最近は、シードルも広まってきたので飲み比べると面白いかもしれません。リンゴの果汁を発酵させてつくる醸造酒がシードルで、それを蒸留・熟成させたのがカルヴァドス。同じく大雑把に言うとですが、麦芽からつくられるビールを蒸留するとウイスキー、ブドウからつくられるワインを蒸留するとブランデー。そう考えると、面白いでしょ? 原料の種類や工程、製法が違うのでそのままできるというわけではありませんが。

味香)カクテルを飲んでいると、多種多様なお酒に出合えそうですね。

菅野)いろいろと試してみてください。きっと、自分好みのカクテルやバーが見つかると思いますよ。

Bar Bru¨der       菅野仁利さん
東京都新宿区新宿3-7-7 十字屋ビル3F
03-6457-4949
17:00~03:00
日曜休み
チャージ 1,080円、サービス料 5%
席数 11
カクテル 1,080円~、ウイスキー 1,080円~(税込)

本日のお会計
ジン・トニック 1,080円
ジャック・ローズ 1,620円
鴨ロースの生ハム 860円
チャージ 1,080円
サービス料 5%
計 4,800円(税込)

 

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