Vol.49 The SG Club 後閑信吾さん

登場カクテル「ナチュラル アンナチュラル ワイン」「ホワイト コーヒー フィズ」

登場人物

【味香】バー初心者の20代。好奇心が人一倍強く、次々にバーの扉を開けていく。お酒は強いほう。

味香)こんばんは~。

鈴木敦さん(以下、鈴木)こんばんは。こちらは初めてですか?

味香)はい。

鈴木)1Fと地下でコンセプトが異なっていまして、ここはカジュアルに飲めるスタイル。バリスタによるコーヒーやノンアルコールのモクテルもあります。地下は落ち着いた雰囲気で、独創的なカクテルをゆっくり愉しめるスタイルになっています。

味香)ちょっと地下に行ってみます。

<階段を下りていく>

後閑信吾さん(以下、後閑)こんばんは。

味香)こんばんは。壁に飾ってある浮世絵の女性、何を飲んでいるんですか?

後閑)「スピーク・ロウ」というカクテルです。ラムベースで、シェリーと抹茶が入っています。

味香)あれは抹茶の緑ですね。どうしてそのカクテルを?

後閑)僕が2012年に「Bacardi Legacy Cocktail Competition」の世界大会で優勝したときのカクテルなんです。画家のジョージ・ハヤシさんに描いて頂きました。江戸の後期に下唇だけを緑色にするのが流行っていたらしくて、それをスピーク・ロウに重ねて。

味香)そのコンペ、前にも聞いたことがあります。日本から優勝者が出ていたなんて。

後閑)当時はNYのバー「Angel’s Share」にいたので、アメリカ代表でした。

味香)ところでこのメニュー、全部オリジナルですよね?

後閑)ユニークなネーミングですが、記憶に残るようなカクテル名がいいなと。これまでゲストバーテンダーやコンペのジャッジで、さまざまな国へ訪れたときに出合った食や文化からインスピレーションを得たものも多いですね。

味香)「ナチュラル アンナチュラル ワイン」というのもカクテルですか?

後閑)そうですね。ブドウとブドウ由来の材料を一切使わずに、ワインを表現しました。ジンベースで、ブランデーやブドウジュース、ベルモットといったものは入っていません。

味香)それ、飲んでみたいです。

<後閑さんがボトルからワイン・グラスにカクテルを注ぐ>

味香)えっ、このボトルがカクテルですか?

後閑)すぐにご提供できるように、予め仕込んであります。

味香)本当にワインみたい。材料に書いてあるイェルバマテって?

後閑)マテ茶の原料になっている樹で、フェルネット・ブランカみたいに苦いです。アルゼンチン・ブエノスアイレスのイベントで初めてイェルバマテを使って、このカクテルを創作しました。

客A)靴磨き、お願いできますか?

堀口洋輔さん(以下、堀口)かしこまりました。こちらへどうぞ。

味香)あのスペース、気になってました。

後閑)“Sip & Shine”といって、チビチビ飲みながら靴を磨いてもらえます。彼は、バーテンダー兼シューシャイナーなんですよ。靴にもSipしてもらいたいので、仕上げはウイスキーで。Sipはチビチビ飲むという意味で、地下のコンセプトになっています。1階は“Guzzle”でごくごく飲む、このSとGで“The SG Club”。

味香)へぇ~、SGって何だろうって思ってました。

後閑)日本のSamuraiとアメリカのGangの頭文字でもあります。もしも遣米使節団が日本にバーを作ったら、という発想からここを作ったので。江戸幕府が日米修好通商条約の批准書交換のためにアメリカに派遣したのが遣米使節団で、彼らはハワイ、サンフランシスコ、パナマ、ワシントン、フィラデルフィアと渡り歩いた後に万延元年、1860年6月16日にNYへ到着しました。ブロードウェイでは日本から来たサムライを見ようと、5万人もの人たちが集まったそうです。その遣米使節団がニューヨークで宿泊していたホテルのワンブロック先のバーで、伝説のバーテンダーといわれるジェリー・トーマスがカクテルを作っていたという記録があって、もしかしたら遣米使節団の誰かが彼のカクテルを飲んだかもしれないという想像から始まりました。

味香)面白い! 一気にタイムトラベルしちゃった。メニューの一番上にある「ホワイト コーヒー フィズ」を頂けますか?

<後閑さんがカクテルメイキング。ボトルに仕込んでおいたものをシェイクし、タンブラーに注ぐ。炭酸と氷を入れる>

後閑)地下の“Sip”で唯一の炭酸入りロングカクテルです。

味香)チビチビ飲む、ですもんね。ジェリー・トーマスさんは、サムライたちに会ったのかな……?

後閑)彼は1862年にカクテルブック『How To Mix Drinks』を出版していて、その中に「ジャパニーズ・カクテル」というカクテルが載っています。

味香)えぇっ⁉ じゃあ、会っているのかも。

後閑)ちなみに、上海で「Speak Low」「Sober Company」というバーも経営していて、そのチームで動いているのでSGはSpeak Low-Sober-Gang Clubという意味もあるし、上のカウンターに立っている鈴木敦と僕の名前、後閑信吾でSGだったりします。オープン日も、遣米使節団がNYに辿り着いた6月16日。

味香)壮大なストーリー……。この後、上も寄って行きます!

後閑)往復する人もいるので、良かったらまた地下にもどうぞ。

The SG Club       後閑信吾さん
東京都渋谷区神南1-7-8
03-6427-0204
1F“Guzzle” [日~木・祝] 14:00~02:00 [金・土・祝前日] 14:00~03:00/B1F“Sip”Open18:00~、Close上記1Fと同じ
無休
1F チャージ・サービス料なし/B1Fチャージなし、サービス料10%
席数 1F 25/B1F 25
カクテル 1,200円~、ウイスキー 1,100円~(税込)

本日のお会計
ナチュラル アンナチュラル ワイン 1,700円
ホワイト コーヒー フィズ 1,700円
サービス料 10%
計 3,740円

※合計は税込価格です

 

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