続・バーへいこう Vol.5 BAR CAPRICE  福島寿継さん  

登場カクテル「ジン・フィズ」「マティーニ」

登場人物

【味香】以前は広告代理店の営業だったが、バー好きが高じて酒場専門誌の編集に転職。以前に増して、いろいろなバーを巡るように。

味香)こんばんは。

福島寿継さん(以下、福島)いらっしゃいませ。奥の席へどうぞ。

味香)ジン・フィズを頂けますか?

福島)かしこまりました。

味香)面白い作り方ですね。シェーカーの中にソーダを入れるのは、初めて見ました。

福島)師匠から教わったレシピをそのまま受け継いでいます。

味香)実は、会社の同僚から聞いて来ました。渋谷の「コレオス」というバーに勤めていたバーテンダーさんのお店で、まずはジン・フィズを飲むといいよって。

福島)コレオスは2014年に閉店してしまいましたが、10年ほど勤めていました。店主だった大泉洋が僕の師匠で、かれこれ20年もお世話になりましたね。

味香)コレオスの前はどちらで?

福島)109の8階で、大泉がバー「コレヒオ」を営んでいました。そちらでも、10年。

味香)えっ⁉ 109って、あの道玄坂にある109ですよね。

福島)あんなところにバーがあるとは思わないですよね。渋谷のど真ん中で、若い女性たちが訪れるようなファッションビルですから。

味香)どうして109に?

福島)大泉がホテルニューオータニの会員制クラブで勤めていた時に知り合ったお客さまが、その一角のオーナーだったそうです。

味香)そういえば、ビルのロゴが新しくなっていましたね。開業40周年とかで。コレオスはどのあたりに?

福島)センター街の中にありました。<グラスに氷をひとつ足す>これでジン・フィズの完成です。

味香)すごい、ぴったり収まりましたね。

福島)氷なしでお出しして、お客さまが少し召し上がったところで氷をひとつ足しています。一般的には材料をシェイクしてタンブラーに注いだら、氷を入れてソーダで割りますよね。でもこの作り方は逆で、シェイクした後にシェーカーへソーダを入れて、タンブラーに注ぎます。そして最後に氷を入れて出来上がり。

味香)大泉さんがオリジナルで考えられたんですか?

福島)銀座のバー「スミノフ」で教わったと聞いています。そちらのバーも、もう無くなってしまいましたが。

味香)あと、「進駐軍マティーニ」というのがあると聞きました。

福島)大泉の店にいた頃は6月と12月に感謝祭があって、進駐軍マティーニをお作りしていました。ゴードン・ジン(47.3度)のボトルに、ノイリー・プラット ドライをほんの少し入れて1日置いたものです。未開封のボトルのネック部分に、空間がありますよね? ここにベルモットを加えるような感覚です。ですから、ほぼジン。そのボトルを開店の数時間前に氷水で冷やしておきます。

味香)それをそのままグラスに?

福島)ミキシンググラスでステアしてから、レモンピールをかけてドロップします。当店では11月1日のオープン記念日に仕込んでいます。

味香)ボトルに仕込んでおいたほうが、味が馴染みそうですね。

福島)戦後、大泉が勤めていた赤坂の「山王ホテル」は進駐軍に接収された米軍の将校クラブでした。マティーニは人気があって、次々にオーダーが入ったそうです。毎回ジンとベルモットのボトルを取り出して作っていたら、間に合わない。それでジンのボトルにベルモットを加えて、冷やしておいたというわけです。マティーニの注文があまりにも多いことから考えられた作り方ですね。進駐軍マティーニはカクテルグラスでお出ししますが、普段は大泉から受け継いだショットグラスのような形状のものを使っています。

味香)ショットグラスで……。そのマティーニ、飲んでみたいです。

福島)HOYA クリスタルのグラスで、本来は冷酒用です。下部のカッティングは3種類。特注なので、もう作られていません。

味香)割らないように気をつけなきゃ。

福島)先日も1脚割れてしまって。そういう時は、浅草の創吉(※)さんに持って行ってリペアして頂きます。<グラスにオリーブを入れる>

味香)このオリーブは、中が赤いですね。

福島)ピメント(赤ピーマン)入りのオリーブです。色合いが良いし、種も取ってあって食べやすい。ただでさえ、カクテル・ピンの置き場所に困りますから、種はないほうがいいですよね。大泉はマティーニの注文が入ると、少し多めに作って「これは店主の分け前(※2)」なんて言いながら、自分用の小さなグラスに注いで飲んでいました。

味香)あははっ、茶目っ気のある方なんですね。大泉さん、お会いしてみたかったです。

福島)たまにですが、奥様と来店しますよ。いつか、ご一緒するかもしれませんね。

 

※ 創吉

東京・浅草にあるグラス&バー用品の専門店「グラスファクトリー創吉」のこと。

※2 店主の分け前

ウイスキーを樽で熟成させると、毎年2~3%のウイスキーが揮発する。それを「天使の分け前」(エンジェルズ・シェア)と呼ぶので、その言葉にかけているようだ。

BAR CAPRICE    福島寿継さん
東京都渋谷区道玄坂2-6-11 鳥升ビルB1F
03-5459-1757
18:00~01:00(日~23:00)
火曜日、祝日休み
チャージなし、サービス料 10%
席数 8
カクテル 1,000円~、ウイスキー 1,000円~(税抜)

 

本日のお会計
ジン・フィズ 1,000円
マティーニ 1,500円
サービス料 10%
計 2,970円

※合計は税込価格です

 

 

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