続・バーへいこう Vol.21 Jeremiah 市川寛さん

登場カクテル「ジェレマイア・リバイバー」「マルチネス」

登場人物

【味香】以前は広告代理店の営業だったが、バー好きが高じて酒場専門誌の編集に転職。以前に増して、いろいろなバーを巡るように。

 

味香)あれ? この辺りのはずだけど……。<大小の額縁が飾られた壁を見つける>もしかして、この大きい額縁が扉なのかな。<扉を開ける>

市川寛さん(以下、市川)いらっしゃいませ。こんばんは。

味香)こんばんは。扉が額縁になっているんですね。

市川)アメリカで初めて発刊されたカクテルブック(※)のカバーを額縁に収めて、扉にしました。スピークイージー(※2)も、少し意識して。200年前のニューヨークに存在していたバーがコンセプトです。

味香)店内にも額縁がたくさん。

市川)そのカクテルブックの著者、ジェリー・トーマスが経営していたバーには風刺画などを収めた額縁が多く飾ってあったらしいです。当店の名前「ジェレマイア」はジェリー・トーマスの本名で、オープン日も彼の命日にあたる12月15日。<バックバーの肖像画を指して>これが、フレアバーテンディングの始まりと言われている「ブルー・ブレイザー」を披露している様子です。金属製のマグを両手に持って、火をつけたウイスキーを交互に流し入れて作るカクテルで、彼が考案しました。

味香)その人がジェリー・トーマス……。

市川)彼の意思を継ぎたいという思いで、フレアだけでなく当時のカクテルも現代風にアレンジしてご提供しています。

味香)ブルー・ブレイザー、見てみたいです。ホット・ウイスキーが出来るということですよね。

市川)基本的にはそうですが、ブルー・ブレイザーの技法を使って作る当店のシグネチャー・カクテルもご用意しています。

味香)いいですね。それをお願いします。<フードメニューを見て>「ファットマンズ・バーガー」というのは?

市川)ジェリー・トーマスがバーテンダーとして働き始めたアメリカのコネチカット州ニュー・ヘイブンにハンバーガー発祥の地と言われるお店があって、それにちなんでメニューに加えました。彼は体格が良かったらしく「Fat Men’s Association」のメンバーだったというエピソードが残っています。

味香)ということは、結構ボリュームがありそうですね。ちょうどお腹が空いてるし、頂きます。

―市川さんがカクテルメイキング―

市川)「コープス・リバイバー」のツイストで、「ジェレマイア・リバイバー」です。ブランデーベースのレシピもありますが、これはジンベースでアブサンが入るレシピをアレンジしました。

味香)マグからマグに火が移っていくのは迫力がありますね。フレアの練習は、普段どのくらいされるんですか?

市川)週5日、2時間から2時間半くらいでしょうか。主に自宅でしますが、時々公園でも。

味香)ボトルを派手に投げたりする大技だと、公園のほうがいいですよね。

市川)そうですね。ただ、僕はどちらかというと細かい技を繰り出すタイプで。大会でいえば、決められた時間内に隙間なく数多くの技を入れて得点を上げていくという。

味香)大技を出さないと勝てないわけじゃないんですね。

市川)営業中にバックバーのボトルを使ってシンプルにパフォーマンスを行う「ワーキング・フレア」、ボトルに必要な量だけを入れてダイナミックにパフォーマンスする「エキシビジョン・フレア」など、目指すスタイルによって練習内容は変わりますね。

味香)フレアを始めたのはどちらで?

市川)横浜駅西口の「TGIフライデーズ」です。食事をしに行った時にフレアを見て、格好いいなと。その後、そこで働き始めました。<ファットマンズ・バーガーを差し出す>

味香)<バンズを見て>店名の焼印、横浜店(※3)でも見かけました。もう一杯カクテルを飲むなら、何がお勧めですか?

市川)ラムベースのホットカクテル「トム&ジェリー」をツイストした「エスプレッソ トム&ジェリー」、メスカルベースの「メスカル・ミルク・パンチ」、それからマティーニの原型といわれている「マルチネス」などでしょうか。

味香)どれも惹かれるけど、マルチネスにします。

―市川さんがカクテルメイキング―

市川)カリフォルニア州の都市、マルチネスへ旅立つお客さんのためにジェリー・トーマスが創作したそうです。

味香)これもコースターが額縁になってますね。カクテルピンに刺してあるのは?

市川)デーツです。本来のレシピには入っていませんが、デーツがカリフォルニアの名産なので使ってみました。プルーンや小豆を連想するような味わいです。

味香)マティーニの原型(※4)かぁ、カクテルに歴史ありですね。

市川)彼の本をもとにメニューを作っていますので、ほかにも気になるクラシックカクテルを見つけたら試してみてくださいね。

 

※カクテルブック
1862年に発刊されたジェリー・トーマス著『How to Mix Drinks, or The Bon-Vivant’s Companion』のこと。

※2 スピークイージー
禁酒法時代のもぐり酒場はスピークイージーと呼ばれ、薬局や床屋などの一室や地下でひっそりと営業していた。看板がなかったり、隠し扉から入店していた当時のスタイルをインテリアやクラシックカクテル含め、現代に蘇らせるというコンセプトで、国内外にスピークイージー風のバーが登場している。

※3 横浜のお店
横浜駅西口にあるグループ店舗のフレアバー「Newjack」のこと。以前の連載『バーへいこう』に登場した。京都にもバー「BEE’S KNEES」がある。

※4 マティーニの原型
現在に伝わるマティーニのレシピとは異なる部分も多く、ほかにもさまざまな説がある。ただ、マルチネスの存在によってマティーニが発展したのは間違いないといわれている。

 

Jeremiah       市川寛さん
東京都新宿区新宿5-4-1 新宿Qフラットビル1F
03-6384-1201
19:00~02:00
日曜日休み
チャージなし、サービス料 5%
席数 16+スタンディング
カクテル 1,000円~(税抜)

本日のお会計
ジェレマイア・リバイバー 1,300円
マルチネス 1,500円
ファットマンズ・バーガー 1,500円
サービス料 5%
計 4,830円
※合計は税込価格です

 

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