登場カクテル「わさびのマティーニ」「クリームシェリーと台湾茶のショートカクテル」
登場人物
【味香】以前は広告代理店の営業だったが、バー好きが高じて酒場専門誌の編集に転職。以前に増して、いろいろなバーを巡るように。
客A)「国産レモンの塩レブヒート」と、生ハムをください。
篠崎新平さん(以下、篠崎)生ハムの量はどうされますか? おつまみなら15g、1人前なら30gカットします。
客A)1人前で。カツサンドも後で頼もうかな。「恋する豚のカツサンド」って書いてありますけど、「恋する豚」は豚の品種ですか?
篠崎)千葉県香取市の在田農場で育てられている豚です。今日は恋する豚ですが、イベリコ豚でお作りするカツサンドも人気ですよ。
味香)こんばんは。
篠崎)いらっしゃいませ。
味香)<カウンターに座って、黒板のメニューを眺める>カルパッチョの4点盛りをください。それに合わせて、カクテルもお願いします。
篠崎)アルコールは強くても大丈夫ですか?
味香)はい、大丈夫です。
―篠崎さんがカクテルメイキング―
篠崎)京都のジン「季の美 勢」と自家製のわさびジンを混ぜた「わさびのマティーニ」です。
味香)後からわさびが香りますね。わさびをジンに浸けたんですか?
篠崎)既製品のジンにわさびを浸け込むのではなく、まずはジュニパーベリーとカルダモンを米焼酎にインフュージョンしました。それに粉わさびを加えて、寒天でウォッシング(※)すると液体が清澄化します。台湾のバー「和酒 WA-SHU」さんで寒天を使う方法を教わりました。麦焼酎をベースにしたり、すりおろしたわさびやチューブでも試したのですが、この組み合わせがベストでしたね。
味香)ステアするときに使う氷が丸い形でしたよね。大きい丸氷じゃなくて、小さい丸氷がいくつか。
篠崎)独立前に14年間勤めていたバーがこのスタイルでした。すぐ近くにある「ブルーカナリヤ」というお店です。<カルパッチョを差し出す>朝4時に船橋市地方卸売市場で仕入れてきた魚です。
味香)え~っ、市場へそんな朝早くから⁉ そういえばメニューに北海道落石のバフンウニとか、淡路島のサヨリとかがある。
篠崎)先ほどの丸い氷は、削った後に細かい氷片がたくさん出ます。それを使ってきちんと下処理をした魚を保存すると、脂が全体にまわって美味しくなるんですよ。所謂サスティナビリティですね。
味香)無駄がないですもんね。手作業でこの氷を作るなんて、仕込みに時間がかかりそう。
客A)生ハム、やっぱり美味しいですね。コンテスト(※2)で2連覇したんでしたっけ。
小熊皓太さん(以下、小熊)ありがとうございます。2年に1度の大会で、2017年に篠崎が、2019年に僕が優勝させて頂きました。
客A)カットの仕方もそうだけど、ブランドによっても味わいが全然違うんだろうなぁ。
小熊)部位によっても違いますね。生ハムがお好きなら、11月11日の「生ハムの日」に日本生ハム協会が開催するシェリーや生ハムが食べ飲み放題のイベントがお勧めですよ。
客A)それはいいですね。次は「和栗とマスカルポーネとウイスキー」のカクテルを。カツサンドもお願いします。
味香)(シェリーと生ハムかぁ。あ、黒板の横にベネンシアがぶら下がってる……)すみません、シェリーを使ったショートカクテルを頂けますか?
篠崎)台湾茶と合わせたカクテルがありますので、そちらをお出ししますね。
―篠崎さんがカクテルメイキング―
篠崎)クリームシェリーと、ラムに金萱茶とドライフルーツを浸けたものでお作りしました。金萱茶は、甘い香りが特徴的な台湾茶です。
味香)こちらも台湾へ行かれたときにインスピレーションを得て?
篠崎)いえ、青山のレストラン「フロリレージュ」さんでお茶のカクテルを飲んでから興味を持ちました。日本茶専門店の「櫻井焙茶研究所」に勤めていたこともあるバーテンダーの大場さんに作って頂いて。
小熊)<客Aにカツサンドを差し出す>お待たせいたしました。
客A)この前、畑でライムを栽培していると聞きましたけど、どちらで作られているんですか?
小熊)佐倉市にある篠崎の実家です。柚子やキウイも作ってますよ。
篠崎)ちょっとした敷地があって、そこでレモングラスやルッコラ、イエルバブエナも栽培しています。
客A)イエルバブエナって、モヒートに入れる?
篠崎)そうです。なかなか大変な作業で、農家さんは凄いなぁと。今後、マティーニに入れるオリーブも作ってみたいです。
客A)そのマティーニ、飲んでみたいなぁ。生ハムと合わせて。
篠崎)もし作ることができたら、お知らせしますね。
客A)楽しみにしてますよ。ん~、カツサンド美味しい!
※ ウォッシング
洋服を洗濯(ウォッシング)して汚れや匂いを落とすように、材料から不要なフレーバーや色を取り除く方法。今回は寒天を入れた後、分離した上澄みを漉して液体を清澄化させた。ほかにも、オイルやミルクなどが使われる。
※2 コンテスト
生ハムの本場スペイン・アンダルシア州公認のイベリコハムカッティングコンテスト東日本大会。正式には「コルタドールコンテスト」といって、カット技術や盛り付けの美しさを競う。コルタドールとは、イベリコ豚の生ハムをカットする職人のこと。
BAR 篠崎 篠崎新平さん
千葉県船橋市本町1-8-29 FSビル2F
047-401-7511
18:00~03:00(日・祝17:00~01:00)
第2、第3月曜休み
チャージ 600円、サービス料なし
席数 19
カクテル 1,100円~、ウイスキー 800円~、シェリー 900円~(税込)
本日のお会計
わさびのマティーニ 1,400円
クリームシェリーと台湾茶のショートカクテル 1,400円
カルパッチョ4点盛り 2,000円
チャージ 600円
計 5,400円
※合計は税込価格です