登場カクテル「ラモス・ジン・フィズ」「フィナンシェ・カクテル」
登場人物
【味香】以前は広告代理店の営業だったが、バー好きが高じて酒場専門誌の編集に転職。以前に増して、いろいろなバーを巡るように。
味香)こんばんは。
五十嵐愛さん(以下、五十嵐)こんばんは。こちらの席へどうぞ。
味香)カウンターが変わりましたね。
五十嵐)先日、内装工事をしまして。この模様から、通称「板チョコカウンター」と呼んでいます。切れ目がコースター代わりになるというお客さまもいらっしゃいます。<メニューを差し出す>
味香)向かい合って座れるカウンターは、どちらかのバーを参考にされたんでしたっけ。
五十嵐)ドイツ・ベルリンのバー「BUCK & BRECK」ですね。ステーション(※)のほうまで客席があるのが斬新で、実際伺った時にとても格好いいなと感動しました。この広さですと、カウンターとテーブル席を設けるのが一般的だとは思うのですが、ひとつのダイニングテーブルをみんなで囲んでシェアする形にしたかったんです。
味香)カウンター上にステーションがあるのも珍しいですよね。
五十嵐)見えないところをなくしたかったので。オーダーが取りやすいですし、サーブもしやすいです。
味香)ひとりで飲みに来ても、誰かと飲んでいる気分になれそう。バーカウンターで誰かと向かい合って飲むシチュエーションは、なかなかないですから。
五十嵐)約束もせずふらりと入ってきた方たちが知り合い同士で、気づいたらテーブルを囲んで飲んでいるような雰囲気になったことがあって、理想的でしたね。その後は個々が自由に帰っていくという。
味香)このカウンターならではの光景ですね。「ラモス・ジン・フィズ」を頂けますか?
―五十嵐さんがカクテルメイキング―
味香)グラスにモコモコした泡が映えますね。
五十嵐)ニューヨークの雑貨屋さんで買ったバーレスクグラスです。ラモス・ジン・フィズは、トレンチ(※2)時代に泡の固さなどを皆で試行錯誤して作った思い出のあるカクテルで。ベースはビーフィーター24(※3)です。
味香)そうだ、トレンチで勤務された後にシンガポールへ行って、それからこちらをオープンされたんでしたね。その前は?
五十嵐)池袋と渋谷のバーにいました。もともとは製菓学校に通っていてそちらの道に進むはずだったのですが、パティシエの先輩にバーへ連れて行って頂いてからバーテンダーに興味を持ち始めて。
味香)今もお菓子とか作ります?
五十嵐)あまり頻繁ではないですが、イベント用にプリンを作ったりしています。どちらかというと、カクテルに使うシロップ作りに役立っていますね。フードメニューの「レモンパウンドとスパイスフィグ」は、パウンドケーキを先輩のパティシエから仕入れていて、スパイスフィグは私が作っています。
味香)それ、頂きたいです。イベントはどんなことを?
五十嵐)日曜日に不定期で“JAZZY SUNDAY”というジャズライブを開催したり、この間は「名曲喫茶 丸花蜂」としてアナログレコードのみのBGMで営業しました。リクエストされた曲に合わせてカクテルを作るという。
味香)名曲喫茶、って昭和の香りがしますね。
五十嵐)レコードが高価で、個人で購入することが難しかった1950年代から60年代に名曲喫茶という業態が流行ったらしいです。中島みゆきさんの『悪女』に自家製のフルーツシロップを使った「エル・ディアブロ」、RCサクセションの『ベイビー! 逃げるんだ。』に「スクリュードライバー」などを合わせてお出ししました。<レモンパウンドとスパイスフィグを差し出す>
味香)スパイスフィグがソースになっているんですね。<メニューを見て>「フィナンシェ・カクテル」をください。
―五十嵐さんがカクテルメイキング―
五十嵐)シリアルをブロンド・チョコレートの「ドゥルセ」でコーティングしたものが底に沈んでいますので、こちらのスプーンで召し上がってください。
味香)この粒々したものですね? 自然と口の中に入ってきました。面白い!
五十嵐)フランスの焼き菓子、フィナンシェをカクテルで表現しました。ベースのバーボンがしっかり感じられるからか、男性にも人気があるんですよ。
味香)「ヴェスパーマティーニ」も頼む人が多そう。前に飲んだ「ペニシリン」も美味しかったです。
五十嵐)自家製ジンジャーシロップでお作りする「ダーク&ストーミー」や「ハンキーパンキー」もよくご注文頂きますね。母の住む小樽へ帰った時に知り合ったご夫婦が輸入されている、イタリア・サルデーニャ島のワインもお勧めです。
味香)ワイン好きの友達がいるので、今度一緒に来ますね。
五十嵐)はい。お待ちしています。
※ ステーション
バーテンダーが主に作業をする場所。水まわり。
※2 トレンチ
恵比寿のバー「BAR TRENCH」のこと。
※3 ビーフィーター24
ロンドン市内で蒸溜されているジンのブランド、ビーフィーターの商品。24時間刺激的な街のイメージから名付けられた。五十嵐さんは2015年、「ビーフィーター グローバル バーテンダー コンペティション」で日本代表に選ばれている。
Flying Bumblebee 五十嵐 愛さん
東京都渋谷区代官山町13-7 ベルビー代官山 B1F
03-6455-1185
17:00~00:00
日曜日休み
チャージなし、サービス料 10%
席数 12
カクテル 1,300円~、ウイスキー 1,000円~、ワイン 1,400円~(税抜)
本日のお会計
ラモス・ジン・フィズ 1,700円
フィナンシェ・カクテル 1,500円
レモンパウンドとスパイスフィグ 900円
サービス料 10%
計 4,920円
※合計は税込価格です