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続・バーへいこう Vol.34 数寄屋橋サンボア  津田敦史さん

登場カクテル「ハイボール」「オールドファッションド」

登場人物

【味香】以前は広告代理店の営業だったが、バー好きが高じて酒場専門誌の編集に転職。以前に増して、いろいろなバーを巡るように。

客A)ハイボール、もう1杯頂けますか。

津田敦史さん(以下、津田)かしこまりました。

客A)いつもの角瓶も美味しいけど、ほかのウイスキーで作ったハイボールも飲んでみたいですね。

津田)ご指定がなければ角瓶ですが、オールド、ブラックニッカ、スーパーニッカ、フロム・ザ・バレル、デュワーズ12年、ジョニ黒を角瓶と同じように冷凍していまして、そちらでハイボールをお作りすることもあります。

客A)オールドのハイボールをお願いします。

味香)<扉を開ける>こんばんは。

津田)こんばんは。こちらへどうぞ。

味香)ハイボールと、オイルサーディンをください。

―津田さんがカクテルメイキング―

味香)氷なしのハイボール、ずっと飲んでみたかったんです。

津田)どちらかでお聞きになられて?

味香)いろいろなバーで、サンボアのハイボールは有名だと伺いました。氷が入っていないのは、創業当時の名残だとか。

津田)氷がとても貴重な時代でしたから、グラスの中に入れるよりも主に食材を冷やすために使われていました。グラスを手に持つと、下部に親指が引っ掛かる場所がありますよね? このカット部分までウイスキーを注ぐと60ml、ダブルになります。それから炭酸を一気に加えて、完成。当店もはじめは60ml入れていたのですが、お客さまのご意見もあって今は50mlに調整してお出ししています。

味香)ハイボール専用のグラスですね。

津田)カガミクリスタルの特注です。<オイルサーディンを差し出す>

味香)やっぱりハイボールが一番人気ですか?

津田)1杯目にご注文頂くことが多いですね。2杯目にウイスキーのロックやストレート、ネグローニやオールドファッションドなどのカクテルを頼まれたり。ジン・トニックもよく出ます。

味香)<バックバーに飾られた本『バー「サンボア」の百年』を見て>その本は?

津田)創業100周年を迎えた2018年に、大阪・北新地店と銀座店、浅草店の3店舗を経営するオーナーが出版した本です。

味香)そんなに長い歴史があるんですね。

津田)神戸で誕生して、現在14店舗がサンボアの名で営業しています。神戸の本店は既に閉店してしまっていますが。

味香)バーテンダーさんは、どちらで修行を?

津田)大阪の「ヒルトンプラザ店」で2年、「堂島サンボア」で8年半ほど勤務しました。社員として10年以上勤めることが暖簾分けの第一条件で、サンボアのオーナー全員に許可されれば出店できるという流れです。

味香)結構厳しいですね。10年以上同じ系列のお店に勤めることは、今なかなかないでしょうから。

津田)長く勤めた堂島サンボアの影響が大きくて、此処を作るときにも「堂島サンボアを東京で再現したい」と考えました。でも、それでは個性が出ないのではとご指摘を受けて。フランス・パリのリッツホテルにある「バー・ヘミングウェイ」も好きだったので、そちらと堂島サンボアの雰囲気を参考にデザインして頂きました。バックバー左右にあるショーケースは堂島サンボアにあったもので、これが収まるようにバックバーが作られています。

味香)趣のあるショーケース……。オールドファッションドを頂けますか?

―津田さんがカクテルメイキング―

津田)マドラーを使ってかき混ぜながら召し上がってください。

味香)ありがとうございます。ところで、バックバーの上に並んでいるお皿は何ですか?

津田)ロイヤルコペンハーゲンのイヤープレートです。堂島サンボアにも飾られていて、1998年から集め始めました。丸の内の本店で毎年購入しています。

客B)お久しぶりです。こんばんは。

津田)こんばんは。今日はご出張で?

客B)そう。先月、10周年だったよね。堂島サンボアで飲んでて思い出したよ。おめでとうございます。

津田)ありがとうございます。

客B)スーパーニッカの水割りとチョコレートを。

津田)あら、珍しいですね。ハイボールではなく?

客B)堂島で紀野さんの話になってね。厳しいお客さんだったけれど、津田さんが此処をオープンした後にわざわざ日帰りで来たでしょ。杖をつきながら。

津田)あの日のことは忘れませんよ。スーパーニッカの水割りを召し上がって「うまい」と言ってくださった時、本当に嬉しくて込み上げてくるものがありました。

客B)良い店、バーテンダーはそういうお客さんに愛されるんだよ。相変わらず、真鍮が綺麗だし。ピカピカに磨き上げてる。

津田)水割り、お待たせいたしました。

客B)うん、うまい!

味香)(バーテンダーさんとお客さん、素敵な関係だなぁ。いつか堂島サンボアや、ほかのサンボアにも行ってみたい……)

数寄屋橋サンボア          津田敦史さん
東京都中央区銀座7-3-16 東五ビル1F
03-3572-5466
17:00~00:00(土16:00~23:00)
日曜日、祝日休み
チャージ 300円、サービス料なし
席数 5(スタンディング)
カクテル 1,200円~、ウイスキー 1,200円~、ワイン 1,100円~(税抜)

 

本日のお会計
ハイボール 1,200円
オールドファッションド 1,800円
オイルサーディン 1,000円
チャージ 300円
計 4,700円

※合計は税込価格です

 

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