登場カクテル「コープス・リバイバー No.2」「メアリー・ピックフォード」
登場人物
【味香】以前は広告代理店の営業だったが、バー好きが高じて酒場専門誌の編集に転職。以前に増して、いろいろなバーを巡るように。
客A)「プティット・フルール」ですか、初めて聞きました。
吉田和裕さん(以下、吉田)1959年の国際大会で優勝したカクテルで、僕が以前勤めていたハイアット リージェンシー東京のバー「オードヴィー」でよくお出ししていました。ラム、コアントロー、グレープフルーツジュースをシェイクして作りますが、ドライでも甘口に比率を変えても美味しいですよ。
客A)ドライに作って頂こうかな。それからフードメニューの「Pe Pe Pepperクッキー」というのは?
吉田)カンボジア・カンポット州の小さな町で栽培される、カンポットペッパーで作られたクッキーです。世界一美味しい黒胡椒とも言われています。
客A)おつまみに良さそうですね。それもください。
吉田)かしこまりました。
味香)<扉を開ける>こんばんは。
吉田)こんばんは。こちらの席へどうぞ。
味香)さっぱりとしたショートカクテルを頂けますか?
吉田)アルコール度数は弱め、強めどちらが宜しいでしょうか。
味香)強くても大丈夫です。
吉田)ドライ・シェリーがベースの「バンブー」、またはジンベースでコアントローやリレ・ブランが入る「コープス・リバイバー No.2」はいかがでしょう。
味香)コープス・リバイバー No.2にします。
―吉田さんがカクテルメイキング―
味香)No.2ということは、No.1もあるんですか?
吉田)はい。No.1はブランデーとカルヴァドス、スイート・ベルモットをステアします。そちらは葉巻を吸われるお客さまに、ロックスタイルでお出ししたりしています。
味香)全然レシピが違いますね。No.2はとても爽やかな感じ。
吉田)クラシックカクテルですが、リレ・ブランとアブサンの風味がモダンな雰囲気を醸し出しているカクテルだと思います。
味香)普段はバーテンダーさんがおひとりで営業されているんですか?
吉田)いえ、この後オーナーが参ります。
味香)お店の造りがとても素敵ですよね。オーナーさんのセンスが良いんだろうなと思っていました。
吉田)実はオーナーの斎藤が恵比寿の「ウェスティンホテル東京」出身で、カウンターの椅子や奥のソファ、テーブルもそちらで使われていたものです。「コンパスローズ」というラウンジが改装されるタイミングで買い取ったと聞いています。
味香)ホテル出身のバーテンダーさんなんですね。
吉田)目黒雅叙園(現・ホテル雅叙園東京)、ウェスティン、ザ・リッツ・カールトン東京と勤めた後にこちらをオープンしました。店名の「Noir」は斎藤が雅叙園で勤めていたバーの名前で、いま使っている灰皿もその時のものです。<“Noir”と文字の入った灰皿を見せる>書体が当店のものと少し違いますよね。
味香)本当だ。ホテル時代の調度品を大事にされているんですね。<フードメニューを見る>ところで、「トム38ヤム君」はどんなお料理ですか?
吉田)八戸産の缶詰「38CAN BAR(サバ缶バー)」のトムヤムクン味を使った料理です。温めた後にチリパウダーとパクチーを乗せて、パルミジャーノを削りかけます。この缶詰は、八戸に所縁のあるお客さまにご紹介頂きました。
味香)面白いですね。トム38ヤム君と、それに合うショートカクテルをお願いします。
―吉田さんがカクテルメイキング―
吉田)ラムベースの「メアリー・ピックフォード」です。中に入っているパイナップルと、お料理の上にかかっているパルミジャーノの相性が良いのでこちらをお作りしました。
味香)フードメニュー、結構しっかりと食べられるものも多いですね。スペアリブやピッツァ、パテ ド カンパーニュ……。
吉田)軽いものでしたらビーフジャーキーや、ショコラティエ・山崎のり子さんのチョコレートも扱っています。<トム38ヤム君を差し出す>
客A)吉田さん、「パトリア」(※)とシガーを頂けますか?
吉田)ありがとうございます。先日も召し上がってくださって。
客A)カクテルコンペティションに出場された時から、レシピを改良したと仰ってましたよね。
吉田)シナモンスティックをパウダーに、アプリコットジャムをアプリコットブランデーに変えました。シガーはどうしましょう。
客A)日本人がプロデュースしたシガー、何でしたっけ。
吉田)宮本豪太さんの「ゴータシガー」ですね。ニカラグアに自社工場を建てて、無農薬タバコ葉を使用したプレミアムシガーを生産されています。
客A)それをお願いします。吉田さんはシガーを吸う時、何を飲まれます?
吉田)ラスティ・ネイルですね。
客A)それは間違いなく美味しそう。
味香)(日本人がプロデュースしたシガーがあるなんて。まだまだシガーには手を出せないけれど、いつか試してみたいなぁ……)
※ パトリア
2018年に開催された「バカルディ レガシー カクテル コンペティション」でセミファイナルに進んだ作品。ラム、エスプレッソ、コアントロー、アプリコットブランデーをシェイク、シナモンパウダーをかけて軽くバーナーで炙り、オレンジ・ピールで香り付けをして完成。
Bar Noir 吉田和裕さん
東京都渋谷区恵比寿南3-1-25 Ice Cube 5F
03-5725-9888
16:00~ ※営業時間はSNSなどでご確認ください。
日曜日、祝日休み
チャージ 900円、サービス料 10%
席数 17
カクテル 1,400円~、ウイスキー 1,400円~、ビール 900円~(税込)
本日のお会計
コープス・リバイバー No.2 1,500円
メアリー・ピックフォード 1,500円
トム38ヤム君 1,400円
チャージ 900円、サービス料 10%
計 5,830円
※合計は税込価格です