~キュロ・ディスティラリー社が誇るジン、ナプエNAPUEとコスクエKOSKUE~

先日、正規代理店のリカーズハセガワ主催で、キュロ・ディスティラリー社のセミナーが行われました。講師は、同社CEOであるミカ氏。

 

キュロ・ディスティラリー社は、2012年に5人の若者によって設立され、2014年から蒸溜生産を開始した新しい蒸溜所です。

フィンランドの中西部イソキュロに蒸溜所はありますが、ここはほぼ北極圏であるため、7~8月は白夜(日照時間は22時間)。そのため、ベリーなどのフレーバーは強くなるそうです。

蒸溜所の建物は、1908年に建築されたチーズ工場を買い取って改修し使用しています(OLD DAIRY)。近くを河が流れており、これを水源としています。蒸溜器は、KOTHE POT STILLという1200リットルのハイブリット型を使用しています(ウイスキーとジンは別々の同型スチルを使用)。

フィンランドではもともとライ麦が食用として多く栽培されており、またこの地もライ麦の生産地であったため、フィンランド産ライ麦を100%使用したライウイスキーの生産を開始しました。ライ麦の蒸溜は難しいですが、スパイス・フレーバーやアーシー(earthy・大地のような)・フレーバーといった個性的な香味のウイスキーを造ることができるので魅力的です。

 

ウイスキー以外にも、このライ麦から造られるライ・スピリッツを用いてジンを生産しています。今回のセミナーで取り上げられた、ナプエとコスクエもそれにあたります。

 

ナプエは近くの村の名前を冠したジンで、無色透明。12種類のドライボタニカルと、4種類のフレッシュボタニカルを使用しています。

ドライボタニカルは、ディル、アンジェリカ、シナモン、レモンピール、コリアンダー、カルダモン、リコリス、ハイビスカス、オリスの根、ジュニパーベリー、エルダーフラワー、クランベリー。

フレッシュボタニカルは夏季にのみ収穫でき、手摘みで収穫後、それぞれ個別に蒸溜・抽出し、ジン原酒を造っています。

メドゥースウィートmeadowsweet セイヨウナツユキソウは、この地ならではのボタニカルで、夏に「グリーン」の印象を与える草。このジン原酒Aは甘いハーブ香で、フロント・テイストに効いています。

バーチの葉birch leaf はサウナで使われている葉で、フィンランドらしいボタニカル。このジン原酒Bは、アーシー・土のような香味をもたらし、ミドル・テイストに効いてきます。

シーバックソーンsea-buckthorn は酸味の強い黄色いベリーで、カナダでも少しとれますが、フィンランド特産の珍しいベリー。このジン原酒Dは、バニラの花のような甘味をもたらします。

キャラウェイはフィンランドで収穫できるときはフィンランド産を使用しますが、それ以外の時は輸入品を使用しており、ドライボタニカルとともに蒸溜・抽出されます。

3つのジン原酒のほかに、ドライボタニカルですが、フィンランド産のクランベリーから造っています。このジン原酒Cはファイナル・テイストに効いていて、余韻に酸と苦味のみをもたらしています。

この4つのジン原酒A~Dで味の輪郭・流れを造り、ドライボタニカルから造られるジン・ベースとブレンドすることでナプエは造られます。

ナプエの製造工程は、エルダーフラワーとハイビスカス以外のドライボタニカル10種類をアルコール度数86%のライ・スピリッツに16時間マチュレーション浸漬します。その後、エルダーフラワーとハイビスカスについてはヴェイパー・インフュージョン蒸気抽出を行い、ジン・ベースを造ります。先の4つのボタニカルそれぞれを単独で蒸溜し、それぞれジン原酒A~Dを造って、これら5つの原酒をブレンドしてナプエを完成させます。

ナプエは、程よいジュニパーの香味と柑橘系の味わいが特徴。ライ・スピリッツの風味も、しっかりとした個性を発揮しています。

コスクエも近くの村の名前を冠したジンで、ナプエをベースにボタニカルを追加(オレンジピール、ブラックペッパー)し、約3ヶ月アメリカンホワイトオークの小樽で熟成したものです。

コスクエの製造工程ですが、ジン・ベース製造は同じです。バレルエイジングを新樽で3ヶ月行い、ナプエの4つのジン原酒のほかに、オレンジピールとブラックペッパーそれぞれのジン原酒を造ります。これら7つをブレンドして、コスクエを完成させます。

コスクエは、優しいタンニン、バニラやシナモンといったスパイスやドライフルーツケーキ様の香味が加わり、より魅力的に仕上がっていますので、クリスマス・フレーバーが楽しめます。

 

どちらのジンも、フィンランドならではのボタニカルを使用し、個性豊かでありながらバランスのよい味わいとなっています。また、ベーススピリッツに用いたライ麦が、他のジンにはないフレーバーをもたらしており、よりローカルな個性を感じさせています。

近年、クラフトジンで多く用いられている数種類の原酒を混ぜ合わせるブレンドタイプですが、北欧の厳しい環境の中、短い夏に芽生える生命力の強さを具現化している優れたジンです。

 

 

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