4輪の薔薇が、こちらを向いて咲いている。描かれた絵から、容易く連想できる銘柄。華やかで甘く、ラベルを見ていると薔薇の香りが漂ってくるような錯覚に陥ってしまいそうになる。
1980年代、白井慎一さんはこのイエローラベルに出合い、バーボンの世界へ一気にのめり込んだ。両親が洋食屋を営み、自身も東京・青山にある親戚の店で料理の修業をしていたが、琥珀色の酒に心を奪われてしまった。
バドワイザーやミラーなどのライト・ビールをチェイサーに、バーボンを飲むなんて恰好良いじゃないかーー。1990年、修業を終えて地元へ帰った白井さんは、洋食屋の上階にアメリカへの憧れを体現した。開店して数年が経った頃から、10年かけてアメリカの蒸留所巡りへ。現地で本物に触れ、体験したいという思いにずっと駆られていた。
「常日頃から、お客さまにはバーボンを好きなように飲んで頂きたいと思っています。このお酒は高いからオン・ザ・ロックで飲んでは駄目だ、と言われたりしますよね。でも、現地ではストレートで飲んでいる人がほとんどいません。コーラなどで割って楽しんでいますし、どう飲むかはその人の自由。実際に訪れてみて、自分がしてきたことは間違いじゃなかったと確信できました」
フォアローゼズ蒸留所は、2001年にキリンビールがシーグラム社から買収し、現在はキリンビールの子会社になっている。白井さんが出合った当時はイエローラベルのみだったが、以後ブラック、プラチナ、スモールバッチ、シングルバレルとリリースされ、味わいに更なる磨きをかけている。
MILWAUKEE’S CLUB 白井慎一氏
埼玉県川口市中青木2-12-3
048-253-0280
18:00~00:00
※店舗情報は取材時のものです。営業時間帯等、変更されている可能性がありますのでご了承ください。
絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ