ペルノ・リカール・ジャパン主催にて、伝統的なアイリッシュウイスキーであるシングルポットスティルウイスキー『レッドブレスト』の発売記念セミナーがTokyo Whisky Libraryにて行われました。講師はアイリッシュ・ディスティラーズ社マスター・ブレンダーのビリー・レイトン氏でした。
今回、日本での新発売は12年・15年・21年の3アイテムです。これ以外に本国などでは、ルスタウ・カスク・エディッションや12年カスクストレングスもあります。ルスタウはスペインのシェリーメーカーで、ここの最良のシェリー樽を使用した特別版です。
まず、ミドルトン蒸溜所の4人のマスターの紹介がありました。蒸溜工程担当でマスター・ディスティラーのブライアン・ネイション氏、製樽担当でマスター・クーパーのジュア・バックリー氏、熟成担当でマスター・オブ・マチュレーションのケビン・オゴーマン氏、そしてマスター・ブレンダーのビリー・レイトン氏。レイトン氏は1976年に会計士として入社し、以来41年間一筋で務められ、その間に製造工程にも携わり、現在マスター・ブレンダーとして最も重要な仕事をされています。
次に、『レッドブレスト』が造られている「ミドルトン蒸溜所」についてです。アイルランドの南部コーク・シティーから5キロほどの場所にあり、水源はダンガニー川の水を使用しています。創業は1825年ですが、現在は1975年に同じ敷地内につくられた新蒸溜所にて製造を行っています。旧蒸溜所は現在博物館となっており、153,000リットルの世界最大の蒸溜器が目玉となっています。これはスコッチの一般的な蒸溜器の10倍の容量です。
水源はダンガニー川からと、その他に地下の洞窟の湧水も使用しています。原料はノンピートの麦芽と未発芽大麦です。これがシングルポットスティルウイスキー最大の特徴です。糖化・発酵を行い、アイリッシュの伝統的なスタイルである単式蒸溜器での3回蒸溜を行います。得られる溜液のアルコールは84%ですが、バレルエントリーは63.4%にて行います。熟成に使用する樽はアメリカンホワイトオークのバレル(容量200ℓ)とヨーロピアンオークのオロロソシェリーバット(容量500ℓ)です。熟成庫では樽の積み方に特徴があり、いわゆるパラタイズ式がメインとなっています。
テイスティングについては、レイトン氏から以下のようなコメントがありました。
*12年(ファーストフィルの樽のみ使用)
香りはスパイシー、フルーティー、サルタナレーズン、ナッツ、クルミ、ビターアーモンド、はっきりとしたロースト香。味わいはシルキーでテクスチャーがある。
*15年(ファーストフィルとセカンドフィルの樽を使用)
香りはベリー系フルーツやアロマオイル。味わいはスパイスとトースト、みずみずしいフルーツ。
*21年(ファーストフィルとセカンドフィルの樽を使用)
香りは深みとボディ感がある。もぎたてのトロピカルフルーツ、オレンジやベリーの若い果実のニュアンス。味わいはソフトなバニラ、シェリー、スパイス、甘いフレッシュフルーツ、クリーミー。フィニッシュは長く、最後に大麦の風味。
その後、レッドブレストを使ったカクテルの紹介や、Minimal Bean to Barのチョコレート3種類と15年のペアリングも行われ、盛り沢山なセミナーでした。